3Gや4G/LTE、5Gの違いとは?
2020年3月より、5Gの商用化がスタートしました。とはいえ、「5Gって何?」「3Gや4G/LTEとは違うの?」と疑問を抱いている人も多いのではないでしょうか。
そこでここでは、3G、4G/LTE、5Gの概要とそれぞれの違いについて紹介します。それぞれの最高通信速度や安定性についても比較するので、3Gや4G、5Gについて疑問のある方はぜひチェックしてみてください。
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目次
3G・4G・LTE・5Gとは通信移動システム
3G、4G、LTE、5Gは、全て通信移動システムについて言う言葉です。数字の違いは世代(Generation)の違いを表わしており、「1G」「2G」から、3G、4G、LTE、5Gとつながっています。
このうち、1Gは音声のみのアナログ方式を、2Gはメールやインターネットに対応するデジタル方式を示しています。
それでは、何かとよく耳にする3G、4G、LTE、5Gは何を示す言葉なのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
1. 3Gは第3世代移動通信システムの通称
3Gは「3rd Generation」を略したもので、第3世代移動通信システムの通称です。2001年ごろに登場し、2Gで初めて導入されたメールやインターネットのさらなる高速化を可能にしました。主な通信規格には、「W-CDMA(ワイドバンドCDMA)」と「CDMA2000」があります。
また、代表的なサービスとしては以下のようなものがあります。
- FOMA(NTTdocomo)
- CDMA 1X(au)
- Vodafone Global Standard(Vodafone:現SoftBank)
3Gは2Gと比較すると速度・容量とも圧倒的な進化を遂げたといえますが、現在の通信速度とは比較になりません。
3Gでは、DVD1枚(約4.7GB)をダウンロードするのに、およそ27~30時間掛かりました。
ただし、2006年ごろになると、3Gよりもより高速な3.5Gが登場します。これにより、画像を含むHPや動画の視聴がよりスムーズに。DVD1枚(約4.7GB)をダウンロードするのにかかる時間も、45分~1時間程度に短縮されています。
LTEは第4世代の通信規格の一つ
LTEは「Long Term Evolution(ロングタームエボリューション)」の頭文字をとったもので、4Gの通信規格の一つです。次の4Gが登場する前の移行準備として登場したため、第3.9世代とも呼ばれます。4Gに含めて「4G/LTE」と言われることが多いでしょう。
データ通信の需要が高まり、3Gの規格拡張も限界となっていました。本来ならすぐに4Gに移行すればよいのですが、4Gを円滑にスタートさせるには時間が必要です。そこで、2010年にLTEという第3.9世代の通信規格が導入され、中長期的な移行期間が設けられました。
LTEの導入により、データ通信速度・扱える通信容量が大幅にアップ。LTEなら、DVD1枚(約4.7GB)をダウンロードするのにかかる時間はわずか4~5分です。
3. 4Gは第4世代移動通信システムの通称
4Gは「4th Generation」を略したもので、第4世代移動通信システムの通称です。LTEを経て2015年ごろ登場し、LTEの進化形としてより高速・大容量の通信が可能となりました。
4G/LTEの特徴は、音声通信よりもデータ通信に特化している点です。「高速化」「応答速度向上」「同時に通信できる端末数の増加」が重視されており、インターネットの快適性がさらにアップしました。
代表的なサービスは、以下の通りです。
- Xi(クロッシィ)(NTTdocomo)
- au 4G LTE(au)
- SoftBank 4G LTE(SoftBank)
DVD1枚(約4.7GB)をダウンロードするのにかかる時間は、約30~40秒です。
4. 5Gは第5世代移動通信システムの通称
5Gは、「5th Generation」を略したもので、第5世代移動通信システムの通称です。5Gの導入により、4Gよりも圧倒的な「超高速」「超低遅延」「多数同時接続」が実現しました。
5Gの通信速度は4G/LTEの約10倍と言われます。つまり、DVD1枚(約4.7GB)のダウンロードにかかる時間はわずか3~4秒です。
5Gを利用できれば、全てのモノをインターネットにつなぐ「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」の実現も夢ではありません。
ただし、現在使われている4G用のスマホでは、5Gを利用できません。5G用に端末を新しくする必要がありますが、対応機種はまださほど多くないのが現状です。
3G・4G/LTEの違い
1Gからある移動通信システムのうち、現在でも使われているのが3G・4G/LTE、そして導入が始まったばかりの5Gです。ここでは、現在最も広く普及している3G・4G/LTEの違いについて紹介します。
1. 通信速度
まず、3者の主な通信用途と最大通信速度を比較してみましょう。
世代 | 3G | LTE | 4G |
主な通信用途 | 文字ベースのHPの閲覧(iモード等) | HP、動画の閲覧、写真や動画の投稿など | HPや動画の閲覧、ライブ配信など |
最大通信速度 | 64~384kbps | 37.5~150Mbps | 110Mbps~約1Gbps |
3Gと4G/LTEを比較すると、速さは4G/LTEの方が圧倒的です。現在も通信規格のアップデートが続けられており、その速さは家庭向けブロードバンド回線にも引けを取りません。スマートフォンを頻繁に使うなら、4G/LTEの方がストレスを感じずに済むでしょう。
2. 通信対応エリア
3Gは、ほぼ100%の人口カバー率を実現しています。一方4G/LTEは、都市部についてはほぼカバーしているものの、山間部や地方の一部ではまだ提供されていません。このような場所でスマートフォンを使う場合は、自動的に3Gに切り替わります。
3. 安定性
4G/LTEはコンクリートがあったり厚い壁があったりする場所では、通信が途切れがちです。一方、3Gは場所を選ばず、比較的どこででも使えます。安定性は、3Gの方が高いといえるでしょう。
近年のスマートフォンは4G/LTE対応のものがほとんどですが、3Gが使えないわけではありません。回線が混雑していて通信速度が遅くなったときなどは、3Gに切り替えた方がサクサク操作できることもあります。
4G/LTE・5Gの違い
4G/LTEは3Gの約5倍の通信速度を持つと言われます。この4G/LTEよりも圧倒的に早いのが5Gです。現在主流の4G/LTEと、今後の普及が見込まれる5Gの違いを見ていきましょう。
1. 通信速度
ここでは、4Gと5Gの主な通信用途と最大通信速度を比較します。
世代 | 4G | 5G |
主な通信用途 | HPや動画の閲覧、ライブ配信など | HPや動画の閲覧、4Kや8Kの動画やゲームなど |
最大通信速度 | 110Mbps~約1Gbps | 約10Gbps~ |
5Gは4Gよりも高い周波数帯を用い、帯域幅を広げています。これによりデータの通り道がしっかりと確保され、高速かつ大容量の通信が可能となりました。
5Gなら4Kや8Kの動画やゲームなども快適です。
2. 通信エリア
前述の通り、4Gは都市部に関してはほぼカバーしています。
一方、5Gは2020年3月から商用化されているものの、利用できるエリアは首都圏などの一部のみです。というのも、4Gと5Gでは扱う周波数帯が異なります。従来の基地局では5Gに対応できず、整備を進める必要があるのです。
全国の基地局を整備するには、それなりの時間が掛かります。「どこでも5Gが使える」状態になるのはまだ先のようです。ちなみに大手通信会社「SoftBank」は、2022年3月末までに人口カバー率90%達成を目指してインフラ整備を行っています。
3. 安定性
5Gでは、デバイスに近い側で情報処理を行う「エッジコンピューティング」という技術が採用されています。デバイスとサーバー間のデータ伝送距離が短くなったことから、遅延が発生しにくくなりました。
具体的には、4Gは10ms(100分の1秒)の遅延が発生していましたが、5Gでは1ms(1000分の1秒)程度の遅延です。
ただし、高い周波数帯を使っている5Gは「電波が遠くまで届きにくい」「減衰しやすい」というデメリットもあります。
快適なモバイル通信環境を確立するためには、送信側と受信側で複数のアンテナを容易する「MIMO(マイモ)」、1つのネットワークを仮想的に分割(スライス)する「ネットワークスライシング」などの技術が不可欠となるでしょう。
3G・4G/LTEを経て5Gに移行
移動通信システムは音声のみのアナログ方式から始まり、今や高速・大容量通信が可能となった5Gに移行しようとしています。
3Gはいわゆるガラケーで使われていた移動通信システムで、近い将来サービスが終了すると見込まれます。一方、4G/LTEは現在の主流ですが、カバー率100%には至っていません。適宜3G、4Gを使い分けるのがベターです。
また、導入されたばかりの5Gが本領を発揮するのは、インフラが整った2023年ごろではないかと言われています。いまだ提供エリアも少ないため、5Gに移行するタイミングは、適切に測る必要があるでしょう。