イギリスに旅行したい方や留学したい方、あるいは子どもを留学させたい方にとって、現地の生活様式やインフラ事情は気になるところです。特になくてはならないインターネットについては、イギリスと日本で通信事情に違いがありますので、旅行や留学を考えている方は注意が必要です。本記事は、イギリスのインターネットやWiFi事情を紹介し、利用方法についても解説します。

イギリスのインターネットとWiFi事情

先進国であるイギリスはインターネット普及率も高く、2022年では95.0%に及んでいます。同年の日本のインターネット普及率は93.3%ですので、日本と同程度の普及率です。ただ、光ファイバーが主流である日本に対し、イギリスは現在でもADSLを引いているケースが大半を占めています。その理由として、イギリスは日本に比べて古い建物が多く、光ファイバーの回線工事を行いづらいという事情があります。一部の建物では光回線を引き込むことが可能ですが、場所が限定されるため、留学における滞在先を選ぶ際は注意が必要です。

WiFiを使うにあたっての日本との違い

イギリスの各地にもWiFiを利用できるスポットはたくさんあります。前述のとおり、イギリスはADSL通信が主流のため、光ファイバー主体の日本とではWiFiの利用環境に大きな差が生じます。

そもそもADSLとは、一般のアナログ電話回線を利用し、データを電気信号でやり取りする手法のことです。電話回線がある場所なら基本的に利用可能で、開通工事も通信会社の局内で行うため、自宅で大がかりな工事を実施する必要はありません。ただ、電気信号は通信速度が遅く、かつ基地局からの距離に左右されるため、場所によっては満足な速度が出ない場合があります。実際、イギリスの通信速度の平均値は73.48Mbpsで、光通信が主流である日本の146.79Mbpsに比べるとおよそ半分のスピードとなっています。さらにWiFiの場合、有線接続に比べると通信が安定しにくい欠点があるため、イギリスでのWiFi利用には日本ほどの快適性は期待できないと思っておいた方がよいでしょう。

イギリスでインターネットを利用する方法

イギリスでインターネットを利用する方法は大きく分けて4つあります。それぞれに特徴やメリットがありますので、イギリスに行く場合は自身のニーズに合った利用方法を選びましょう。 

1. フリーWiFiを利用する

イギリスの空港や駅、ホテル、カフェ、レストランといった公共スポットの多くは、フリーWiFiスポットが設置されています。そのスポットの範囲内であれば、メールアドレスで登録する、あるいはスポットごとに設定されたパスワードを入力するだけで、すぐにインターネットを利用することが可能です。フリーWiFiの利用に費用はかからず、インターネットを無料で使えるのもメリットの一つです。

しかし、フリーWiFiはその場にいる全ての人が利用できるので、アクセスが集中すると接続が不安定になったり、通信速度が著しく低下したりする場合があります。場所によっては利用時間に制限が設けられており、一定時間が過ぎたら再びログインやアクセスの手続きが必要になることもあります。また、フリーWiFiは不特定多数の人が利用するため、セキュリティ面に不安が残るところもデメリットの一つです。特定のスポットで短時間調べ物をする程度なら問題ありませんが、大容量のファイルを送受信したり、動画を視聴したりしたい場合は、フリーWiFiだと不便に感じるでしょう。また、フリーWiFiは公共施設にあるケースがほとんどで、一般的な住宅には設置されていません。

イギリス留学での滞在先ではフリーWiFiは利用できない可能性が高いのであらかじめ注意が必要です。

2. 海外で使えるプリペイドSIMを利用する

SIMカードのスロットがある端末なら、海外で使えるプリペイドSIMを利用する方法もあります。プリペイドSIMとは使い切りのSIMカードのことで、契約期間において一定容量のデータ通信を行えるのが特徴です。長期契約のSIMカードに比べると面倒な契約手続きが不要な上、クレジットカードや銀行口座なども必要ないので、手軽に購入して利用できます。

プリペイドSIMは日本国内の家電量販店や空港などで販売されている他、インターネット通販でも購入できるため、簡単に入手できるところも利点です。プリペイドSIMの種類によって利用できる国と地域には違いがありますので、イギリスで利用する場合はイギリスで使えるプリペイドSIMを選びましょう。コストも比較的手頃なので短期旅行に適した方法です。

プリペイドSIMの利用には一定の制限があり、使用できるデータ量や日数は製品によって異なりますが、データ量は4GB～12GB、日数は8日～30日程度のものが主流です。データが足りなくなった場合にはオンラインから追加チャージできるものもあるため、想定よりデータを使いすぎてしまった場合にも対応できます。状況に応じて自分に合ったSIMカードを選べる魅力がある一方で、現地でSIMカードの入れ替えが必要な点や、長期滞在する場合はかえってコストが割高になる点がネックです。特にパソコンやタブレット、スマートフォンを同時に利用したい場合は、端末の数だけプリペイドSIMを用意しなければならず、大きな出費となります。滞在期間が1カ月を超える場合は他の方法を検討した方がよいでしょう。

3. 携帯電話会社の海外ローミングを利用する

携帯電話会社の中には、海外でもデータ通信や通話が可能となる海外ローミングを提供しているところがあります。海外ローミングを利用すれば日本から持参した端末をそのままイギリスで使えるようになるため、プリペイドSIMのようにわざわざSIMカードを入れ替える手間がありません。利用料金も通常どおり国内の携帯電話会社から請求されるので、新たな支払い手続きを行わなくてよいのもメリットの一つです。

一方で、海外ローミングを利用する場合、従量課金制になってしまう点に注意が必要です。大手携帯電話会社が提供している海外用のパケット定額プランに加入すれば定額でインターネットを利用できますが、別途プラン料金が発生します。滞在日数が短い場合や現地で無料WiFiを利用する予定がある場合はいいですが、そうでない場合は通信料金が割高になってしまう可能性があるので注意が必要です。

4. 海外用の小型WiFiを利用する

WiFiルーターといえば有線の据え置きタイプをイメージするかもしれませんが、中には小型のワイヤレスタイプもあります。あらかじめ接続設定を済ませておけば、小型WiFiを近くに置いておくだけでインターネットを利用できます。同時接続数は製品によって異なりますが、10台以上の同時接続に対応しているものもあり、パソコンを使いながらタブレットやスマートフォンで動画を視聴するといった使い方も可能です。

小型WiFiを利用するにはレンタルする方法と購入する方法の二通りあり、レンタルは一定期間だけルーターを借り、使用後は業者に返却する必要があります。短期契約が可能なので、たまの旅行やショートステイに適しています。ただ、返却したルーターはリユースされる仕組みになっているため、不特定多数の人の手に渡る関係上、ハッキングされる可能性などのセキュリティ面にやや不安が残るのがネックです。また、レンタル料金は契約している間中発生するため、長期間利用する場合はルーターを購入するよりコストがかさむおそれがあります。

WiFiルーターを購入する方法では、端末購入代の分だけ初期投資はレンタルより高めになりますが、一度端末を購入してしまえば毎月のレンタル料金は発生しないため、長期間利用する場合はレンタルするよりもコストパフォーマンスはいいでしょう。何度もイギリスを旅行する方や、留学でイギリスに長期滞在する方は、WiFiルーターを購入するのがおすすめです。購入タイプのWiFiサービスを提供する業者の中には、留学生向けのプランがあるところもあります。

例えばスカイベリーが提供するスカイベリーWiFi留学生プランは、端末代金や送料、事務手数料などの初期費用が0円になる他、通常プランで必要なクラウドSIM接続料が月額費用に含まれているため、少ないコストでWiFiを利用することができます。さらに、その月のデータ通信量が制限を超えても回線が停止にならず、引き続き低速で利用することが可能です。低速化に不便を感じる場合は、追加チャージをすることで当月の上限を30GBまで変更することもできます。

このように、留学生向けプランにはメリットがたくさんあるので、イギリス留学を予定している場合は、ぜひ留学生向けプランを検討してみましょう。 

イギリスに旅行・留学するならWiFiを利用しよう

イギリスに旅行もしくは留学するなら、現地でインターネットを利用できる手段を用意しておくとよいでしょう。プリペイドSIMや海外ローミングを利用するのも一つの方法ですが、他の方法に比べてコストや手間がかかるところがネックです。大容量通信をストレスなく利用したいならWiFiが適していますが、現地のフリーWiFiは使い勝手が悪く、かつ、利用できるスポットも限られています。レンタルWiFiは手軽に契約できるのが利点ですが、セキュリティ面に不安が残ること、長期利用ではコストが割高になることなどを考えると購入タイプのWiFiがおすすめです。イギリス留学の場合は留学生向けプランを利用すると、通常プランよりお得にインターネットを利用できるので検討してみてください。