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中国渡航と業務用スマホは企業リスクになる?
※こちらのブログは通信業界歴20年の者が個人の見解で書いたものです※
中国渡航の際の通信リスクについて、近年の状況も踏まえてご説明します。
目次
― 中国出張・駐在で見落とされがちな情報漏洩対策 ―
はじめに
中国への出張や現地ビジネスが再び活発化する一方で、見落とされがちなのが中国渡航時に業務用スマートフォン(携帯電話)を持ち込むリスクです。近年は、中国の法制度や通信環境の特性から、
- 中国に業務用スマホを持ち込むこと自体が情報漏洩リスクになり得る
- その影響は個人ではなく企業全体に及ぶ
という認識が、企業の間で急速に広がりつつあります。
本コラムでは、最近報じられた政府機関職員によるスマホ紛失事案を起点に、中国出張・駐在における携帯電話利用リスクを企業のリスクマネジメント課題として整理し、実務的な対策の方向性を提示します。
業務用スマホ紛失事案が示した本質的な問題
報道によれば、日本の政府機関職員が中国滞在中に業務用スマートフォンを紛失し、端末内に保存されていた情報漏洩の可能性が問題となりました。このニュースで注目すべき点は、「紛失したこと」そのものよりも、業務用スマホを中国に持ち込んでいたこと自体がリスクを内包していたという点です。
業務用スマホには、連絡先、メール履歴、業務アプリ、場合によっては社内システムへのアクセス情報など、企業にとって重要なデータが集約されています。それが日本国内とは異なる法制度・通信管理の下に置かれることは、企業にとって新たな脆弱性を生むことになります。
なぜ「中国でのスマホ利用」は特別なリスクになるのか
1. 法制度と情報アクセスの考え方の違い
中国では国家安全法やサイバーセキュリティ関連法制により、通信やデータに対する政府の関与が強いとされています。外国企業や渡航者にとって、その運用は必ずしも透明とは言えず、個人や企業の端末であっても、意図しない形で情報が閲覧・取得される可能性を否定できません。
2. 独自の通信・アプリ環境
中国ではGoogle系サービスが利用できず、WeChat(微信)など現地アプリが事実上必須となります。これらのアプリは生活・業務に便利な一方で、
- 多くの権限を要求する
- 通信やログの仕様が日本とは異なる
といった特徴があり、業務用携帯電話にインストールすることで情報管理の前提が崩れる恐れがあります。
3. 紛失・検査時の影響の大きさ
海外では、空港や公共施設での検査、移動中の置き忘れなど、端末が手元を離れる場面が増えます。中国ではその際、
- 端末の内容が第三者の管理下に置かれる
- 即時のリモート消去が困難
といった事態も想定され、一度の紛失が企業全体の情報リスクへ波及する可能性があります。
これは総務・IT部門だけの問題ではない
業務用スマホの管理というと、総務部門、IT部門や情報システム担当の課題と捉えられがちです。しかし、中国渡航に関するスマホリスクは、
- 海外事業戦略
- コンプライアンス
- レピュテーション管理
と密接に関わる経営レベルのリスクマネジメント課題です。
「今まで問題がなかったから大丈夫」という前提は、国際環境の変化とともに通用しなくなっています。
企業が検討すべき現実的な対策
1. 渡航時の端末ポリシーを明確化する
- 中国など高リスク地域への業務用スマホ持ち込み可否
- 私用・業務端末の明確な分離
- 持ち込む場合のデータ最小化ルール
を文書化し、全社で共有することが重要です。
2. 「持ち込まない」という選択肢
有効な対策の一つが、日本で使っている業務用スマホを中国に持ち込まないことです。代替として、
- 中国滞在専用のスマホ
- 現地電話番号付きのレンタル端末
を利用することで、社内データや業務アカウントとの切り離しが可能になります。
3. 端末紛失を前提とした運用設計
- 端末には必要最小限の情報のみ保存
- 帰国後は端末を回収・初期化
- 万一に備えた社内連絡フローの整備
といった「事故前提」の設計が求められます。
スマホレンタルは“コスト”ではなく“投資”
現地専用スマホやレンタルサービスは、単なる利便性向上策ではありません。企業の情報資産と信用を守るためのリスク低減策です。
- 業務データを日本側に残せる
- 渡航期間限定で利用できる
- トラブル発生時の影響範囲を限定できる
これらは、万一の情報漏洩による損失と比較すれば、十分に合理的な投資と言えるでしょう。
a2networkの「中国向けスマホレンタル」
こうしたリスクを踏まえ、近年注目されているのが、中国滞在専用のスマートフォンをレンタルするという対策です。
a2networkが提供する中国向けスマホレンタルサービスでは、
- 中国電話番号付きスマートフォンを日本で事前に受け取り可能
- 日本で利用している業務用スマホを中国に持ち込む必要がない
- 業務データや社内アカウントを端末に保存しない運用が可能
といった特徴により、情報漏洩リスクを構造的に分離することができます。
スマホレンタルは、単なる通信手段の確保ではなく、
「中国という特殊な環境に、社内情報を持ち込まない」
というリスクマネジメントの実践そのものです。
中国出張・駐在・短期滞在を予定している企業にとって、a2networkの中国向けスマホレンタルは、現実的かつ導入しやすいリスク低減策と言えるでしょう。
FAQ(よくある質問)
Q1. 中国出張に業務用スマホを持ち込むことは本当に危険なのですか?
中国出張で業務用スマホを持ち込むこと自体が、必ずしも即座に問題になるわけではありません。しかし、中国は日本とは異なる法制度や通信管理の仕組みを持っており、業務用スマホに保存された情報が、想定外の形で第三者の管理下に置かれるリスクがあります。企業の機密情報や取引先データを扱う端末である以上、「万一」を前提とした慎重な判断が求められます。
Q2. 個人スマホと業務用スマホではリスクは違いますか?
はい、大きく異なります。個人スマホであれば影響は原則として個人に限定されますが、業務用スマホの場合、影響は企業全体に及びます。メール、業務アプリ、社内システムへのアクセス情報が含まれている場合、情報漏洩は信用問題や契約上の責任に発展する可能性があります。
Q3. 中国ではなぜ現地電話番号付きスマホが必要なのですか?
中国では、配車、決済、連絡手段など多くのサービスが現地アプリを前提としており、中国の電話番号がないと利用できないケースが少なくありません。そのため、日本で使っている業務用スマホに現地SIMを入れる対応が行われがちですが、それが新たなリスクを生む原因にもなっています。
Q4. 中国向けにスマホを分けることは企業にとって現実的な対策ですか?
はい、現実的かつ有効な対策の一つです。中国滞在専用のスマホを用意することで、日本国内の業務環境と物理的・論理的に分離できます。これにより、端末紛失や検査が発生した場合でも、影響範囲を最小限に抑えることが可能です。
Q5. スマホレンタルはコストが高くなりませんか?
一見するとコスト増に見えるかもしれませんが、情報漏洩や信用低下による損失と比較すると、リスク低減のための合理的な投資と考えられます。短期出張や一時滞在の場合は、購入よりもレンタルの方が管理・運用面でも負担が少なくなります。
おわりに
中国に業務用スマホを持ち込むことは、もはや単なる利便性の問題ではありません。その行為自体が企業リスクになり得るという認識が、これからのグローバルビジネスには不可欠です。
今回の事案を一過性のニュースで終わらせず、ぜひ自社の渡航ルールや端末運用を見直す契機としていただければと思います。
筆者:平島 賢一(男性) 通信業界歴20年


